九品寺跡石憧及び五輪塔群

     

豊後大野市指定有形文化財

 栗ケ畑字小野の九品寺跡といわれるところに大小の五輪塔・宝篋 印塔・庚申塔などがある。その中に大きな石どうの竿の部分が1基立 っている。竿の高さは1メートル52センチあるので、完全な形 の石どうにすれば3メートルを優に越える大変大きな石どうであったと 思われる。
 四角形の竿の1面に銘文が彫られている。それによれば、文安二年 (1445)3月27日に、大神実次という人と藤原氏の出で 戒名が祥妙という2人が、7分全得を祈願して造立した逆修塔であ る事がわかる。大神氏は、大友氏以前に大野郡一帯で勢力をふるっ た一族であるが、実次については今のところ史料も伝承もないので 不明である。
 近くには、あまり大きくはないが高さ90センチ前後の五輪塔が 41基と、火輪だけが26基、それに宝篋印塔の笠、及び格狭 間の彫られた基礎がそれぞれ2基ある。  いずれにも銘文の彫られたものはなく、いつ頃どの様な目的で造 立されたものかわからない。また、江戸時代の年号の入った庚申塔 8基も共に祀られている。
 これらは、九品寺跡一帯に転っていたり土の中に半分埋っていた ものを、所有者である甲斐正俊氏の祖母が昭和初期頃に集めて祀っ たものである。