黒松阿蘇社鳥居(黒松)

     

豊後大野市指定有形文化財

 黒松地区の阿蘇神社参道入口の県道脇に、がっしりとした、見る からに古風な明神型鳥居が立っている。  阿蘇神社は、延文6年(1361)4月5日に阿蘇惟村が出した  「井田郷十二貫文寄進状」等の文書から、南北朝時代に創建された と考えられる。また阿蘇社の由緒書には、「社殿を創建、此時華表 一基を建つ」とあるので (「華表」とは鳥居の別名)、この鳥居も 南北朝時代の造立と推定される。しかもこの鳥居は、この時代の特 徴をよく備えており、石材は太いものを用い、柱間の広さに比して 背が低く、笠木の反り及び反り増しは、ほとんどない。また、笠木 の厚さに比して島木の厚さが薄い。柱は四角形で大きく面取りされ ている。また、柱と柱の間隔は、上部より下部がわずかに広く、い わゆる「転」は小さい。通常、石造鳥居の場合、笠木は額束の上で 継がれている場合が多いが、この鳥居の笠木は、端から端まで一石 でできている。  大分県内で最も古い紀年銘「観応2年(1351)」のある千歳村の 平尾社旧鳥居に、大きさや形が大変よく似ている。  江戸時代以降は、石の鳥居が多く造られたが、それ以前は木の鳥 居が主で石造鳥居は大変少なく貴重な鳥居である。  笠木の上までの高さは、3メートル15センチで、柱の中心から 中心までの広さ、いわゆる「真々」は下部で2メートル67センチ である。