藤ノ木石憧(高津原)

     

大分県指定有形文化財

 町道柴北高津原線を貫く道路の途中から左へ曲がって野道を5分 程歩いた墓地の入口に立っている。大正時代の中頃、道路拡張工事 の際に道路脇にあったものをこの地に移したといわれている。
 高さは2メートル10センチである。
 笠は2箇所少し欠損しているが、円形で軒口に垂木を刻んでいる。 笠の裏には「応永12年(1405)乙酉2月18日」 の紀年銘と、 結衆の人々の名前及び逆修の文字が墨書されている。結衆の人々の 生前供養のために道立されたのであろう。
 龕は一般的に多く見られる四角形ではなく円形で、六体の地蔵像 と閻魔大王大王及び不動明王が彫られている。尊像はかなり深く彫られ ており、破損も少ない。笠や中台の大きさに比して龕部がやや小さ く感じられる。
 中台は上部が円形で、下部は四角形という変った形をしており、 竿もまた上部は四角形で、下部は八角形という変った形をしている。  基礎は円形の自然石の中央部をくりぬき、竿を差し込んでいる。  あまり見かけない珍しい形の石憧である。