黒松宝篋印塔(黒松)
豊後大野市指定有形文化財
黒松地区の県道脇に「金輪山正福寺」と書かれた扁額の懸かった、
通常「黒松庵」と呼ばれる庵の脇に建立されている。
造立時期を示す紀年銘は彫られていないが、笠の様式・格狭間の
形・その他から南北朝時代に造立されたものと推定される。
宝珠が欠失しているが、他に欠損箇所はなく均整のとれた宝篋印
塔で、高さは2メートル13センチある。
相輪の輪、請花、反花等の彫りは全般に浅く彫られている。露盤
は笠と一石で、各面を二区分して縦連子が彫られており、その上に
作り出しがあるのは珍らしい。
笠は幅の割に厚みがあり、上側及び下側にそれぞれ二段の段形が
ある。なお、隅飾突起の外側への反りが小さいのは古い様式と見る
ことができる。
露盤が縦連子で、笠の上段が格狭間、下段が単弁の花びらという
形は康暦三年(1381)造立の石井宝篋印塔と同じである。
塔身は方形の枠の中に月輪が刻まれ、基礎は、格狭間と下部に蓮
弁が彫られている。