愛宕石憧(柴北)

     

豊後大野市指定有形文化財

 柴北圓行寺の上の高津原方向へ通じる道路を、車で1・2分程走 ると右側に墓地があり、そのはずれの櫟林の中に立っている。地区 の人々は愛宕様と呼び、折りにふれお参りしている。特にお地蔵様 の縁日とされている24日のうち1月24日と8月24日は、地区 の人々が集まりお参りしている。戦国時代の永禄4年 (1561)の 造立で、総高2メートル45センチある。
 宝珠は石憧では珍しく火焔を伴い、請花には蓮弁が線彫りされて いる。
 笠は円形で、軒には垂木を刻み、欠損箇所もなく形もよい。
 龕部は四角形で一隅が少し欠損している。3面にお地蔵様が2体 ずつ彫られ、一面には蓮華座にすわった観音菩薩2体が彫られてい る。お地蔵様は、錫杖を持っている姿、合掌している姿、数珠を持 っている姿など、深い彫りではないが像容がわかるように丁寧に彫 られている。
 中台は四角形で、花弁もなく簡素である。
 竿は四角形で、その1面には多数の銘文が丁寧に彫られている。 それによると、永禄四年辛酉三月二十八日に松岩宇漆居士の十三回 忌で菩提を弔うために建立したようである。
 基礎も四角形で、一石を二段に作り出して、中をくりぬき竿を差 しこんでいる。