六ツ庵子石憧(柴北)
豊後大野市指定有形文化財
圓行寺の境内に不動明王堂(六ツ子庵)がある。徳川時代中期の
享保年問に創建されたものと推定される。
当堂が「六ツ子庵」と呼ばれる由縁について次の様な伝承がある。
その当時宵闇迫る頃になると、6才ぐらいの幼児が近くに流れる柴
北川のほとりより忽然と現われ、小声にて泣きながら当地に来たり、
消ゆるが如く姿をかくすこと度々であった。そうした奇異な出来事
に、人々は何かの因縁によるものであろうということから当堂が建
立され、不動明王をまつることになったという。
その脇に六ツ子笠地蔵と呼ばれている石憧が立っている。造立時
期は室町時代と推定される。総高2メートル5センチで、宝珠には
火焔があり、笠は円形で垂木がある。龕部は八角形で、閻魔大王と
横向きの観音像と六体の地蔵が彫られている。顔の部分は一様に欠
失している。中台は円形で複弁になった蓮弁が深い彫りで刻まれて
いる。竿は、面取りされた四角形である。