大聖寺聖観音像(柴北)

     

豊後大野市指定有形文化財

 観音菩薩には多くの種類があるが、その中で基本的形の観音菩薩 を特に聖観音と呼んでいる。6~7世紀になって、いろいろな変化 観音(千手観音・十一面観音・如音輪観音・馬頭観音等)が成立し てから、それらと区別するための呼称であり、聖観音は本来の観音 菩薩との意味である。数ある観音菩薩を代表するのが聖観音で、像 には立像と座像とがある。
 観音菩薩は、阿弥陀如来の脇侍で、阿弥陀如来の左側(向って右 側)が観音菩薩であり右側が勢至菩薩である。(現在、大聖寺には 創建当初からの勢至菩薩像は残存しない。)
 この聖観音について、九州大学の菊竹淳一助教授の鑑定によると、 室町時代の作とされ貴重な文化財であると判定されている。像の高 さは43センチである。
 観音菩薩については、法華経第8巻観世音菩薩普門品にその働き が説かれている。そこには、彼の観音力を念ずれば火難・盗難など あらゆる諸難苦しみを恐れることはないとあり、どんなに生きる力 にとぽしい人でも勇気と力が与えられると説く。
 観音とは、「音を観る」と書くように、透き通ったあたたかい目 で見とるように、一切衆生の苦しみを明らかに観とるというのであ る。このように、正しく清らかに、そしておおらかな智慧の眼で、 憐み深い美しい目の持主が観音菩薩である。