虎御前宝篋印塔(高津原)

     

豊後大野市指定有形文化財

 山田地区から三ノ岳なかよしパークに通じる道路の途中、柚河内 地区から山道を5分程歩いた尾根上に立っている。
 地域の人は虎御前と呼んでおり、お参りすると歯の痛みや婦人病 に霊験があると言い伝えられ、戦前まではかなり遠方からもお参り に来る人がいたとのことである。
 虎御前と称される宝筐印塔や五輪塔は、県内各所に存在している。  鎌倉時代、源頼朝が富士の裾野で巻き狩りをした時、曽我兄弟を 手引して工藤祐経の泊っている幕舎を教え、仇討ちの本懐を遂げさ せたのが白拍子の虎御前だといわれている。頼朝に捕われ責められ た時、頼朝の側近であった大友能直に何かと助けられたため、能直 が豊前・豊後の守護職に任じられた後、彼を頼って豊後に下り、曽 我兄弟の菩提を弔いながら西国33箇所を巡ったと伝えられてい る。
 宝珠と火焔が欠損しているが、高さは1メートル85センチあ る。造立は、南北朝時代の文和3年(1354)7月と塔身に彫ら れている。さらにまた塔身には、やや小さめであるが金剛界四仏の 種子が、各面に薬研彫りされている。
 笠の隅飾突起は1箇所欠損しているが、基礎の格狭間の形は、新 飼宝塔や宮脇宝塔に似ており優美である。